愚かの頂で、骨になるまで

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【レビュー】ウィ・ウィル・ウォック・ユー!(We will Wok you!)

ロックスターを中華鍋で料理するカードゲーム?なんだそりゃ?

 

 

クニツィアの弟子はゲームセンスだけでなく、

その類い稀なるゲームテーマの突拍子の無さをも受け継いでいた。

 

このゲームは、プレイヤーはロックフェスで料理を提供する立場、という設定。

だが食材が足りなくなり、ステージ上のロックスターたちをも調理をしなければ…!という状況らしい。

端的に言ってしまえばQueenの名曲「We will rock you」と中華鍋(wock)を掛けたダジャレ名。

食材となったロックスターたちもダジャレのオンパレード。

(写真に写っているのはマライア・キャリーによく似たマライア・キャロット)

 

このゲームのデザイナ、セバスチャン・ブレアスデールは有名なゲームデザイナ、クニツィアの弟子らしい。

師匠のクニツィアも秀逸なボードゲームを数多く作るヒットメイカーだが、そのゲームテーマは常人には理解できないものを取り上げていることがままある。

(例えばヘックメックは「グリルされた虫を数多く取ったものの勝ち」というゲームテーマ)

弟子にもそのテーマセンスは受け継がれていることを確認しながら我々はゲームを楽しんだ訳である。

 

ルールとしては、お金を消費しながら食材を集め、「鍋」によって様々な役を作ってこう得点を目指す、相場操作・役作りゲームとなっている。

野菜のまとまりの横にお金が配置されており、そこから1枚ずつ取得することでプレイヤーはお金の獲得ができるとともに野菜の値段が下がっていく。

野菜を買ったときにはその価格分のお金を価格に追加することになる。

つまり、4金で野菜を買ったらその次の瞬間に8金の値段になってしまうのである。

その8金から各プレイヤーが1枚ずつお金を取っていくことでまた価格が下がっていく。

いつ、何を買うか、どの役を作るか、の駆け引きが絶妙なゲームなのである。

(繰り返すが、さすがクニツィアの弟子)

 

テーマを聞いた際には「おばかゲー」か、と身構えたが

なかなかもってゲームとして完成している。

 

あと一つ気になったのは「お金」のカードに書かれたコインが「一円玉」であること。

おそらく「中華鍋がテーマだし、漢字の書かれたコインを描くべ!」と描かれたのだろう。

書かれている文字も「Aih 二十四三」とかなってる。

ここら辺が欧米人はテキトーだな、と呆れつつ感心してしまう。

日本人のゲームデザイナならしっかりと調べ上げ、文字も正しいものを書いてしまうだろう。

そんな精神だからロックスターを調理するというゲームテーマが出せないのである。

(善し悪しの議論は置いておく)

 

とりあえずいろんな意味で楽しんだ。

またやりたい。