【レビュー】黒猫ローラと魔法の森
軽めゲームかと舐めていたら(失礼)、意外としっかりリソースマネジメントゲーム。
2012秋ゲームマーケットの戦利品、ワンドローさんの「黒猫ローラと魔法の森」。
ゲーム内容をほとんど把握せず、「あやつりキングダム」、「ボイン星人襲来 !!」とともに購入したため、「名前もファンシーな感じだし、雰囲気ゲームかなー」と思っていたらとんでもない。
ちゃんとしたリソースマネジメントゲームでした。
魔具の生成が楽しく、ゲームとしての奥もなかなか深い。
5種類の材料が手に入る魔法の森に使い魔を配置していくことで資源を獲得し、それによって直接勝利点チップを手に入れたり、様々な効果や勝利点をもった魔具を生成する、資源管理ゲームである。
森には「黒猫ローラ」が徘徊しており、材料を一つもって使い魔が帰ってきてしまうこともある。
巧く資源をとりだし、相手より先にお目当ての魔具や勝利点を取り出し、勝利点が最も速く10点に達したプレイヤーの勝利となる。
個人的にはなかなか評価が高かったのだが、ちまたでは批判もあるようである。
多くはプレイシートについて。
今回、小さめのボックスにすべてを納めたため、プレイシートは折られた状態で収納されている。
そのため、いざプレイするときに広げると上記写真のように折れ曲がった状態となってしまうのである。
その上に紙のチップや木のトークンを乗せるため、滑ったりずれてしまったりする。
もっと厚いボードや布にすべきだった、という批判があるようだが、自分はあまりそう思っていない。
ボードや布にすることでコストの上昇・箱の大型化は避けられない。
今回ワンドローさんが目指したのは「完全なコンポーネントをつくること」ではなく、「気軽に持ち運べるサイズ・値段のゲームを作成すること」にあったのではなかろうか。
(完全に、yowskeの推察です。何ら公式発表に基づいていません。)
今回のゲームマーケットでは実際に友人がゲームを作っており、それを傍目で見ていてコストとプレイアビリティは非常に難しい問題であると感じた。
値段が高かったり、持ち運びが不便だった場合、元から手に取ってもらったりプレイしてもらう機会がなくなってしまうかもしれない。
ボードゲーマーであれば「このゲームの箱大きいからな…今回は置いていこう」という判断をしたことが無いとは言わせない。
その前提に立った場合に今回の「紙のプレイシートとする」というワンドローさんの判断を私は支持したいと思ってしまう。
とはいえ、ゲームの内容について私もいくつか気になるところがある。
・黒猫ローラがあまり機能していない
・周囲のマナトラックによる勝利点が効率が悪い
前者については拡張ルールを常時取り入れることで解決するかもしれない。
通常ルールの「ローラのいる材料森の使い魔上限が減少する」はあまりゲームに影響せず、システムとしてはタイトルを冠するほどではないと感じてしまった。
また、後者については、魔具作成の方が効率がよく、マナ抽出を行うインセンティブがほとんどないことが気になっている。
あくまで調整的・最終的なバンプアップとしての使用を想定しているのかもしれないが、もっと戦略の一つとして使える程度のリターンを設定してしまってよい気がしている。
上でも述べたが、個人的には非常に楽しんだ。
簡易なカードゲームやパーティゲームになれたボードゲーム初心者に本格的なボードゲームの面白さを知ってもらうためのツールとして、今後もプレイすると思う。