【レビュー】セイルトゥインディア
私がお世話になっているボードゲーム会の主催者であり、大気圏内ゲームズの一員であるshimamuw氏がやたらに推していたゲームだったので大変期待はしておりました。
いや、その期待を遥かに上回る面白さですよこれ。
ゲームのテーマは大航海時代。
目的や時代背景は「ナビゲーター」というゲームに近いものがある雰囲気(自分はもっているのですが未プレイです)。
ゲームの本質的にはワーカプレイスメントによく似た感じ。
攻め方が複数あるシンプルワープレ、って言う意味では個人的にはプエルトリコ感を感じました。
自分の手番にできることは「移動」や「建物建築」「売却」などの行為。
1手番で3つあるアクションポイントでそれぞれを選択します。
(→記載後追記:2ポイントでした。失礼しました。)
例えば「移動」「移動」「建物建築」など。
ゲームのテーマとしてはポルトガルからインドまでたどり着くまでの興亡を表しているため、「移動」を行うごとにあたらしい土地が発見され、最後の土地(すなわちインド)が発見されるとゲームが終了します。
それまでに得た、土地発見や建物や特産物売却による勝利点(VP)が最も高かったプレイヤーの勝ちです。
このゲームの最大のポイントは、移動を行っていく「船」やその土地で生産された「商品」、建てられた「建物」、「お金」のマーカーや、果ては「勝利点」のマーカーまで、すべてが同一の木製キューブコンポーネントで表現されます。
つまり、「勝利点」を多く得ようと思うとその分「船」や「建物」の数を減らさざるを得ません。
キューブが足りない状態でお金や勝利点を得ても無駄となってしまいます。
異なる概念のコンポーネントが共有されており、その間でジレンマが発生している!
なんというメタジレンマでしょう。
通常、ボードゲームをデザインする場合は異なる概念のコンポーネントは明示的に異なる形態を取ります。
それが分かりやすいし、概念的にも区別されているものだから。
「でもそれって単なる前提の一つだよね。なくせば、ほら、ジレンマ」ってこのゲームは突き付けてきます。
500円ゲームズという縛りがあるからこそ出て来た発想かも知れません。
しかし、この発想の転換には多くのゲームデザイナーが臍を噛んでいるのではないかと思います。
何より自分が悔しい…。
このジレンマがあることで、ゲーム全体が非常に悩ましいシステムとなっている。
「あぁ、船をもっと増やしたい…けど今増やすとお金マーカーがなくなってしまうし…とか言ってると隣のプレイヤーに先を越された…おお…」
という場面が常に発生します。
アグリコラやル・アーブルで生じる「常に食料に気を払わなければ行けない」という常時性緊張感とまた違った緊張感が張りつめることになります。
まだ一回しかプレイしていないですが、「どの戦略で行くのか始めに決める」「VPを稼ぎ出す時期を見誤らない」ことが勝利へのポイントと感じました。
是非ともまたプレイしたいです。
また、入手の機会もうかがっていきたいですね…。