【レビュー】ギシンアンキノトウ
先日のゲームマーケットにて「カワサキファクトリー」さんが出していた、
友人が購入していたため、プレイしてきました。
ルールは至ってシンプル。
「塔」と呼ばれる直方体の長辺面4つが黄色であるか、黒であるかを限られた情報から見抜き、相手プレイヤーより高得点を獲得する、というもの。
(写真で言うと下にある黒いプラスチック状のもの)
4面すべてが黄色なものが一つ、
3面が黄色なものが一つ、
2面が黄色なものが二つ、(隣り合わせと対面の2種類)
1面が黄色なものが一つ、
4面すべてが黒色なものが一つ。
黄色の面の数がそのまま得点となる。
一方のプレイヤーからは塔の片方2面しか見えないため、限られた情報と相手プレイヤーの顔色・手を見ながら判断していくことに。
塔の取り方は、塔の上に交互に色の着いたブロックを乗せていく。二つ載ったときに上に載っている色のプレイヤーがその塔を獲得したこととなる。
(※作者の方からご指摘いただきました。塔に一つだけ載っている状態でラウンド終了を迎えれば獲得したことになるようです。失礼しました。)
自分が赤プレイヤーであれば、一つの塔に二つブロックを乗せるか、相手が一つ乗せた等の上に一つブロックを置くことで、自分の塔になる、という訳である。
とはいえ、高得点を狙えばいいと言うものでもない。2面が黄色である二つを自分のものとしてしまえば、その場で無条件に勝利となる。
このようなラウンドを五回繰り返し、総勝利回数が多い方が勝ちとなる。
ゲームとしてはかなりアブストラクト寄りで理論的思考を要求されるゲームとなっている。
最初は塔の種類と個数が決まっていることを把握していなかったため、「運ゲーか?」と大変失礼な思い違いをしていたが、そのことに気づいてからは一気にアドレナリンが吹き出した。
アブストラクトよりの理論ゲームが好きな(得意かは置いておいて)自分としては、かなり好み。
自分の面から見ると最高点数と最低点数が確定して見える盤面がある。
さて、どうやって相手をハメて、低い塔を取らせようか、と考える思考が非常に楽しい。
このゲームを非常によいものにしているポイントは2点あると思っている。
1. 2点の塔を二つ保持したら無条件勝利
前述した通り、盤面によっては、一方のプレイヤーの持っている情報のみで最高得点の塔が確定してしまい、有利な状況となる。もちろん、勝利確定ではないが、初期状態に偏りがあることは確かである。しかし、情報不利側にも打開の手が残されている。2点の塔を特定し、把握することである。このルールが存在することにより、どんな場合でもジレンマと駆け引きを楽しむことができるようになっている。
2. 塔のコンポーネント
かなり「制作者」としての目線になってしまうが、この塔のコンポーネントが非常にいい。無機質な印象を与えながら、ゲームルールに非常に即した作りとなっている。コストとゲーム性を考えると非常に良いライン引きをしていると思う。
その一方で改善要望点もある。
・上に乗せるブロックが不安定
まず、多少大きいため、普通に乗せるだけで不安定になりがちであり、その上このゲームでは上に乗せたり横の塔に乗せたりと、触れる盤面が多い。そのため、落ちてしまうことも稀ではなく、ゲームの公正性に影響を与えかねない。ブロックではなく、円形の多少厚みのあるチップにしてしまってもよかったかもしれない(アグリコラのワーカのような)。とはいえ、それだと「塔」という世界観が崩れてしまうし…難しいところではある。
まだ存分にやり尽くしたとは言えず、もしかしたら研究の結果、必勝盤面などが出てきてしまうかもしれない。
しかしこれだけシンプルに読み合いと駆け引きをもりこんだルールを練り上げたのはすばらしいと言わざるを得ない。